逆子に対する鍼灸治療

満産期では、3~5%の割合で逆子の診断を受ける妊婦さんがいらっしゃいます。
経腟で産みたい!
一度帝王切開を行うと2回目も帝王切開?!
などなど、いろいろ思う所があるのではないでしょうか。
通常は分娩時に一番大きい頭から生まれるのに対し、逆子は頭が一番最後に出てきます。
産道が十分に伸展する事なく一番大きい頭が最後に出てくるので難産となりやすいのです。
 
逆子への対応として帝王切開が選択される事が多いですが、近年安全に行えるようになってきたとは言え、リスクが伴うのも事実です。(もちろん逆子のまま経腟で産むよりはよっぽど赤ちゃんにとっては安全性が高いと研究で報告されていますのであまり不安にならないで下さい。ママの状態や病院によって出来る対応は様々です。その為、医師との入念なインフォームドコンセントを行ってください)
お腹の子の事を考えれば帝王切開が安心だけれども、ちょっと不安ですよね(^^;
初めての事であればなおさらだと思います。
帝王切開以外の選択肢として
逆子体操や外回転術、逆子が頭位分娩になるよういろいろ方法はあるけれど、実は鍼灸も逆子治療に効果があると言われています。
では、逆子体操と外回転術と鍼灸、どれを選べば良いの?
どんな方法でも良い部分、またそれに伴うリスクはあります。
まず、逆子体操は古くから行われており、効いたと実感されている方もいらっしゃいますが、あくまで化学的根拠は無いと言われています。外回転術はいろいろなガイドラインで推奨はされておりますが成功率は約50%とも言われており決して高い数字ではありません。また、外回転術に伴う胎盤剥離や切迫早産、合併症などのリスクも少なからずあり、十分なインフォームドコンセントが必要かと思われます。
妊婦さんへの鍼灸治療は古来から行われており、鍼灸による逆子治療の研究もいくつか行われています。日本の研究だけを見ても比較的どの報告も高い矯正率が出ています。
鍼灸は妊婦さんへの負担も軽く、安全な方法であると当院では考えています。
逆子に良いと言われている部位に治療を行うと、子宮動脈の血管抵抗値が減少し、子宮の緊張が緩むという結果が多く出ています。子宮の緊張が解かれる事で赤ちゃんが動きやすくなるんですね♪
薬局で売られているような簡易的なシールで貼るようなタイプではなく、鍛錬を積んだ鍼灸師がもぐさをひねり刺激度を調節しながらやっていきます。
鍼灸で赤ちゃんや母体に副作用は出たりしないの?
そんな風に不安になられる方もいらっしゃるかもしれません。
今のところ鍼灸の逆子治療だけによる重度な副作用の報告は出ていません。中には早期破水などの報告は少数ありますが、出血傾向が強かったり、普段服薬していた子宮収縮抑制剤が切れていてお腹が張っていたり、元々何らかの原因がある場合のみとなっております。その為、治療院ではじっくり問診を行った後に治療を行っていきます。
当院では患者さんの状態を診させて頂きながら治療法を決めていきますが、昔から伝えられている逆子に良いと言われる部位にお灸をしていき、必要に応じて足元を棒灸(皮膚を間接的に温めるタイプのお灸)で温めたり)、鍼を行っていきます。早い人では1時間以内に胎動を感じる人もいます。最初にお話しした通り、子宮内の血流が上昇し、子宮の筋の緊張が解かれる事により赤ちゃんが動きやすくなると言われています。
次は、逆子の治療はいつ受ければ良いのか?のお話。
逆子の矯正に影響を与えるのが妊娠の週数と逆子期間。
31週、32週~35週、36週の矯正率を比べた際に、週数が増す事に矯正率が下がるとの報告も出ました。特に31週と32週の差は大きく、鍼灸治療は31週ぐらいまでに受けられることをおすすめします。また35週以降は鍼灸による矯正率はだんだんと下がる傾向にはありますが、もちろん望みがゼロという事は全く無いですし、子宮収縮抑制剤や外回転術の併用治療も可能です。
鍼灸は逆子だけでなく、妊娠中の様々な不定愁訴の改善にも効果があるので是非お勧めですよ♪
逆子治療に関してもう一つ。
妊娠週数以外にも、逆子期間(骨盤位期間)が長いと矯正しにくいとの報告も出ました。
つまり、同じ妊娠週数でも逆子である期間が長い人の方が矯正しにくい結果が出たという事です。
逆子と診断されてから治療を開始するまで、間が空いてしまっているママが結構いらっしゃるんですね。
逆子に対し、鍼灸の効果を上げる為にはなるべく早く治療を開始する事をお勧めします♪
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